2003/06/28
■阿修羅ガール(舞城王太郎 2003/01
 もう、途中の、文字が拡大されてるところとか、さすが舞城。いきなりわけの分からない二回の転換部にも驚き。はっはっは。舞城はいろいろやってくれるよね、という期待の気持ちいっぱいで読んだ。しかし、最後はまとめきる。でも、あれ、まとめないで欲しかったなぁと、思いますが。もっとガタガタのままにうやむやにしてもらいたかった。あんな「いやー、世の中って自分の思い通りにはならないけどさ、楽しくしようと思えばできるんだし、楽しんでいこうよ」系のまとめは、正直うんざり。あんなに中身壊れてるのに。カタストロフィーの手前でいい話にもっていかないでほしいよ、まったく。まぁ、壊れ具合が楽しかったので満足ですが。出版コードギリギリなのか、あれは。まだ、いける?まだいけるよね?舞城にはもっと壊れた作品を出して欲しいです。

2003/06/26
■盤上の敵(北村薫 1999/09
 ミステリーではなかったけれど、仕掛けがおもしろかった。トリックというか・・・、まあ、叙述トリックだったんだろうか。事件の構造が読者にはボタンのかけ違いのように一個ずれて提示されていて、ラストでカチッと合ったような印象。こういう仕掛けは大スキですね。しかし、人物に魅力がない。この作者はどうもあまっちょろい登場人物が多いんじゃないだろうか。

2003/06/25
■りら荘事件(鮎川哲也 1992/03
 正統派?本格派?なんというカテゴリーなのかわからないけれど、かっちりしてた。閉ざされた空間で連続殺人事件、謎、謎、謎、探偵登場、怒涛の解決。文体が古いのは仕方ないんだろうけど、目に付きます。それは逆に、現在広まっている小説そのほか出版物の日本語が砕けてきてるからだろうが。犯人の意外性、殺人方法、動機などは、そこそこよかった。目新しくはないけれど。それにしても探偵の登場は遅い。というか、探偵に魅力がない。致命的。鮎川の著書を他に知らないから、なんともいえないが。この探偵は、事件の説明をするためだけに最後に登場させたという、つけたし要素のように見える。探偵は現場で活躍してこそだろうに。チッ。

2003/06/23
■劫尽童女(恩田陸 2002/04
 恩田陸って、超能力好きだよね。いや、それだけなんだけど。こう、小学校一年にして大学の教養科目まではこなしてるとかいうスーパー少女がでてきて、殺人、孤独、戦い、葛藤、決意、覚醒、・・・とかいう感じにモキモキしてるわけなんだが。うん、おもしろかったよ。ただ、説明不足。組織の目的とか、能力の発芽についてとか、父の意思とか、放り出したな〜という印象。この作者はこういうこと多いよね。きっと頭の中ではきちんと隅々までできあがってるんだろうけど、書いてると、その中から四角く切り取った世界だけを浮かび上がらせちゃって、なんとも細部が・・・。

2003/06/22
■池袋ウエストゲートパーク(石田衣良 2001/07
 ・・・・・青春エンタ?いや、このジャンルはどういうカテゴリーまで有効なのかわからない括りだからなんとも言えないけれど。ヤンキーな若者らしさが滲み出ててよかったのではないでしょうか。私は見た目正当にストレートに人生歩んでるため、こういう傍目も気にせず将来にも無関心で今を楽しめる若者の話は、異世界ものというか、ぼんやりとしたものでしかないですが。テーマが若い割には、老成した雰囲気だったような。てか、人生って踏み外すの、簡単なんだろうね、と思った。あー・・・できるもんなら授業をサボってみたいよ・・・。そんなことしたら授業料はもったいないし、次の授業内容との間に空白はできるし、プリントはもらえないし、いかんともし難いじゃないか。サボるメリットとデメリットを考えたら、億劫でも行かないとという使命感が働いちゃうもんね。こういう、ヤンキーさんたちには、そんな私の思考はトレースできないのでしょうか。サボって得られる人生。いわゆる機会費用は、どれくらいのものなのだろう。魅力的だけどリスク大きいからな。ああ、読書の感想というか私の授業態度の話じゃないか。反省。

2003/06/19
■屍鬼・上(小野不由美 1998/09
 上巻だけとりあえず読んだ。近々、図書館から下巻も借りてこよう。今のとこの感想はー、んー、「長い」っすね。上巻って同じコトの繰り返しばかりで、たるい。下巻でスピーディーな展開になるだろうことを期待。医者がお気に入り。あと、白い小娘もよい。

2003/06/19
■ゲド戦記U〜壊れた腕輪〜(ル・グウィン 1982/01
 ・・・・・・・・・。ファンタジー・・・。なんでしょうか、ゲド戦記シリーズを読破していればそれなりのコメントができるのかもしれない。このシリーズのなかでこれだけを読んでしまうと、ぽわん、と浮かんでしまってなんとも。特に海外作品は、訳の時点でハンデがあるし。とても上手い訳か、それに目をつぶってでも読めるよほど面白い内容かじゃないと、私の琴線には触れないのですよ。まあ、テーマもわかりやすいといえばわかりやすいかもしれない。自分は他人のものじゃないとか自由の重みとか、なんかそういう話だったのだろうか。そんなことよりも、主人公の我侭ぶりが目について仕方なかった。気まぐれ、厚顔無恥、不遜。訳のせいだろうか。大巫女の生まれ変わりなのに威厳もなにもない、ただの不満少女。あー・・・・。苦手・・・。

2003/06/19
■クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識(西尾維新 2002/05
 作者の年齢が私の3つ上というのにびっくり。若い。確かに読んでいてまだまだ深みが足りないなというところはあったものの、3年後の私だってここまでは書けないなーと思った。作者と読者はやはり対等じゃないかもしれない。読者は作者を尊敬してこそだろう。で、この作品について。シリーズの2作目ということで、1作目を読んでいなかったが楽しめた。たまに前回のお話が入っていたりもするものの、全体的には問題ない。超人的な人がいっぱい出てくるのが目に付くが、きっとそういう作風の作者なんだろうね。名前の付け方とか、清涼院くさい。主人公の戯言使いは、今回だけなのが全作でもそうなのか知らないけど、あれだね、森博嗣のVシリーズにおける保呂草の役割とかぶってるよね。語り部かつ仕掛け人。このやろう。それにしても戯言ザレゴトうるさいっちゅーの、というくらいざれざれしてました。ほめ言葉です。

2003/06/09
■千年王子(長野まゆみ 2001/06
 流し読みしたら、よくわかりませんでした。え、輪廻転生?ん?まぁ、とにかく、やっぱり少年少年してた。少年万歳?どうしてこんなに少年なんだろう。てか、この作品は特に・・・ってわけでもないけど、描写が性的でたまらないですね。行為や部位のほとんどを長野語に仕立ててるけど、読者の受け取るイメージは、まんまエロエロですよ。長野語にすればいいってもんじゃないだろう!いや、長野語は好きだけどね。ああ、長野作品がエロに見えたら負けなんだろうか。私の読み方がエロなのか?所詮、読みたいように読んでしまってこその読書だからな。作者の主張もなんのその。作品の楽しみ方は読者のものだ。そんなわけで、私には長野作品がエロチックにみえます。

2003/06/08
■ドミノ(恩田陸 2001/07
 世の中ドミノだよね。情報も感情も連鎖するもの。事件だって連鎖。おもしろかった。キャラクターが多い割には、一人一人の動きがないとドミノが倒れきらないから、全員必要不可欠だったと思う。視点がコロコロ切り替わっていくのもスピード感があっていい。事件全体と、各キャラクター同士のストーリーの展開の両方がからんでいて、さすが恩田陸、ですね。恩田陸は、文章に癖が無いから読みやすいし。

2003/06/07
■ぼくはこうして大人になる(長野まゆみ 2000/10
 長野まゆみに久しぶりに手を出したような。ああ、相変わらず、こう、少年少年してた。なんか、うまいよね、書き方が。少年の透明感だかなんだかですか?ピュアな部分?あとピュアじゃない部分も文学的に美化できてるんだろうね。読んでてキレイです。とはいえ、ちょっと少年にドリームを抱きすぎではないだろうか。現在の少年たちはそんなにもピュアじゃなかろう、と思ったりもする。長野ワールドの特徴だから仕方ないか。読者は圧倒的に女性が多いっていうの、納得。別に男性が読んでもいいだろうけどね。言ってしまえば、ホモの近親相姦者だからなぁ。ファンの方、すいません。作者がそんなネタですら美しく仕上げるのが見所なんですよね、これは。そういえば、この人の描く「兄」はどの作品にも共通してるが、無敵の優しさとかずば抜けた感性とかを持っている、ような気がする。葛藤する主人公を翻弄し導く。かっこよいお兄さん。兄が欲しい私としては、いつもぐっとくる。

2003/06/01
■ぬかるんでから(佐藤哲也 2001/05
 全体に漂う荒唐無稽なブラックユーモアは、気にいる人と気にいらない人に分かれるんじゃないだろうか。世にも奇妙な物語風。嫌いでもないが、別にだからといって教訓が得られるわけでもない。なんともいえない。そういえば、短編集だというのに、一人称はすべて「わたし」だし、登場人物に固有名詞は与えられることはなく、「妻」だの「男」だの「父」だの「祖父」だの「少年」だので済まされている。これは著者の作品に一貫して言えることなのかは知らないが、だから、キャラクターがまるでのっぺらぼうだった。文体が艶めかしいのに対して、おかげでキャラクターは抽象的。作者が意図的にしていることなんだろうけど。あと、主人公が全員男で、しかも女性崇拝主義くさいのが気になった。女性を神聖視してるのか、作者は。と、思えた。

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